スキンケア

肌の必須成分「ヒト型セラミド」とは?

肌の必須成分である「セラミド」。

すでに取り入れているという方や、聞いたことがあるけど詳しくは知らないという方もいらっしゃるかも知れません。

最近はドリンクでセラミドを補給するものもあり、セラミドは体の内外から補う時代になってきています。それもそのはず、セラミドというと皮膚だけと思われているかもしれませんが、実はセラミドは体中に存在している生理活性物質です。ですので、スキンケアやドリンクなどで、外からも内からも補給することが大切なのです。

セラミドといっても実は色々種類があるのをご存知ですか?

せっかくなら効率よく取り入れたい!そんな方へ、おすすめのセラミドの種類をご紹介します!

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セラミドとは?

セラミドは私たちのお肌がもともと持っているもので、皮膚の角層というところにあります。

セラミドは角層細胞と角層細胞の間の隙間を埋める角層細胞間脂質の一つです。

角層細胞がレンガ、細胞間脂質がモルタルに例えられて、レンガーモルタル構造などと呼ばれます。この構造があるおかげで、私たちのお肌は外からの刺激や乾燥から守られています。

セラミドはこの細胞間脂質の半分以上を占める成分です。

ヒト型セラミドの種類

ヒト角層中のセラミドは、スフィンゴイド塩基と脂肪酸が結合することで形成されています。現在約12種類のタイプのセラミド存在が報告されています。

さらに細かく分けると350種以上もあると言われています。奥が深いですね。

その12種類のセラミドもそれぞれ機能や役割があります。

ヒト型セラミドの種類

脂肪酸/長鎖塩基非ヒドロキシ脂肪酸α-ヒドロキシ脂肪酸エステル化
ω-ヒドロキシ脂肪酸
ジヒドロ
スフィンゴシン
セラミドNDS
セラミド10
セラミドADS
セラミド11
セラミEODS
セラミド12
スフィンゴシンセラミドNS
セラミド2
セラミドAS
セラミド5
セラミドEOS
セラミド1
フィト
スフィンゴシン
セラミドNP
セラミド3
セラミドAP
セラミド6
セラミドEOP
セラミド9
6-ヒドロキシ
フィンゴシン
セラミドNH
セラミド8
セラミドAH
セラミド7
セラミドEOH
セラミド4

化粧品に配合されるセラミドは4種類

化粧水や美容液、クリームなどに配合されるセラミド。原料としてのセラミドは「ヒト型セラミド」「擬似セラミド」「天然セラミド」「植物性セラミド」の4つに分けることができます。

それぞれの特徴をご紹介します。

ヒト型セラミド

私たちがもともと持っているセラミドと同様の構造をしたセラミドです。天然型セラミドやバイオセラミドと呼ばれることもあります。構造が同じであるため、肌になじみやすく、角層中ですばやく保湿効果を発揮します。

化学合成や酵母由来の原料があります。あまり量がとれないため、ヒト型セラミド原料は一般的に高価なものが多くなっています。またヒト型セラミドは水にも油にも溶けにくいため、化粧品に配合するためには製剤的な工夫が必要です。化粧品メーカー各社、ヒト型セラミドを配合するために工夫しています。そのような工夫がされていないものはヒト型セラミドはほとんど入っていないといってもいいでしょう。

現在化粧品に配合できるヒト型セラミド
・セラミド1(セラミドEOS、アシルセラミド)
・セラミド2(セラミドNG、NS)
・セラミド3(セラミドNP)
・セラミド4(セラミドEOH)
・セラミド5(セラミドAG、AS)
・セラミド6(セラミドAP)
・セラミド7(セラミドAH)
・セラミド8(セラミドNH)

・ヒトと同じ構造のため、速効性が期待できる
・原料が高価であるため商品も値段が高いものが多い
・配合が難しいため、技術力の低いメーカーでは配合量が少ない可能性もある

擬似セラミド

ヒト型セラミドは高価で化粧品に配合するのが難しい原料です。そのデメリットを解消するために開発されたのが擬似セラミドです。セラミド様の機能を持ち、大量生産ができる安価な原料です。

花王さんのキュレルが有名ですね。花王さんでは擬似セラミドとしてセラミド2の機能を持つヘキサデシロキシPGヒドロキシエチルヘキサデカナミドという成分を開発されています。手軽にセラミド配合化粧品が手に入るようになりました。

一方でセラミド2の機能しかありません。ヒトの12種類のセラミドのうちもっとも重要なのはセラミド3なので、この点では物足りなさも。

・セラミド配合スキンケアが安価に手に入る
・セラミド2の機能しかない

天然セラミド

牛や馬などの動物の臓器(脊髄や脳)から抽出したものセラミドです。成分名は「ビオセラミド」、「セレブロシド」などです。ヒトが持つセラミドと構造が近く、角層への浸透力が高く保湿力にも優れますが、高価です。

植物性セラミド

米ぬか油や小麦胚芽油、コンニャク、とうもろこし、大豆などから抽出した植物由来のセラミドです。成分名は「グルコシルセラミド」などです。

ヒトが持つセラミドとは構造が異なるため、セラミドとしての機能は劣ります。原材料にアレルギーのある方は食物アレルギーの観点からスキンケアで補うのは避けたほうがよいでしょう。

セラミド配合の美容ドリンクでおぎなうセラミドはこのグルコシルセラミドです。2016年に肌トクホが許可されたことによって、食品を摂取することで美容効果が期待できるインナービューティ市場は拡大しています。その中心になっているのが、トクホの関与成分であるグルコシルセラミドです。チョコラBBなどが有名ですね。

グルコシルセラミドはセラミドの前駆体でもあるので、これを補うことで、体内でセラミドを作り出す助けになってくれます。

なぜ「ヒト型セラミド」が良いの?

角層への浸透力やスキンケア効果を考えるとやはり「ヒト型セラミド」がベスト。

「ヒト型セラミド」「天然型セラミド」はあくまでも原料の由来で分類したセラミドですので、全成分表示に記載される表示名とは異なるため注意しましょう。全成分表示ではヒト型セラミドであれば「N-ステアロイルフィトスフィンゴシン(セラミド3)」、「セラミド2」「セラミド1」「セラミド6」などと記載されていますので、それがどのセラミドの種類にあたるのか調べる必要があります。

「ヒト型セラミド」配合スキンケアを選ぶときのポイント

ヒト型セラミド配合スキンケアを選ぶときは、セラミド自体の配合の工夫やセラミド以外の成分も見てみるとよいでしょう。注目すべきポイントをご紹介します。

「ヒト型セラミド」配合の工夫に注目

先ほどご紹介したように、ヒト型セラミドは水にも油にも溶けにくく化粧品への配合が難しい成分です。製剤的な工夫をしないと大量に配合することはできません。

こんなヒト型セラミド配合スキンケアはNG

・ヒト型セラミド配合化粧水
ヒト型セラミドはそもそも水に溶けにくいので化粧水に配合していることを堂々と謳っているようなスキンケア製品は避けたほうが無難です。化粧水はあくまで水分をおぎなうもの。化粧水でセラミドをおぎなうことはあまり期待しないほうがよいでしょう。

・製剤的な工夫がされていない
ヒト型セラミドを多量に配合するためには製剤的な工夫が必要です。各メーカーで工夫を施しているはずなので、パッケージなどを確認してみましょう。「ナノ化」、「ラメラ化」などの技術が一般的です。特に記載がなければ、ヒト型セラミドの配合量は少ないと予想されます。

・プチプラ
ヒト型セラミドは高価な原料です。いわゆるプチプラのスキンケアでは原価の高い原料をたくさん配合できないためセラミドとしての効果はあまり期待できないでしょう。

セラミド以外の成分にも注目

ヒト型セラミドだけでももちろんスキンケア効果がありますが、一緒に配合される成分の組み合わせでさらにパワーアップできます。

「セラミド」×「コレステロール」×「脂肪酸」

この3つは実はすべて細胞間脂質の構成成分。角層の細胞間脂質の半分はセラミドですが、これは重量比換算。セラミド:コレステロール:脂肪酸のモル比率は1:1:1なのです。セラミドの分子量がコレステロールや脂肪酸よりも大きいため、重量比としてはセラミドが50%を占める計算になります。

セラミドだけよりも、この3つが組み合わさることで、角層細胞と角層細胞の間のラメラ構造の形成を助けてくれるという報告があるのです。バリア機能サポート効果がより高まります。

*Journal of Lipid Research (2001) 42 1759-1770

「アシルセラミド」×「その他のセラミド」

12種類あるヒト型セラミドのうち、脂肪酸の側鎖がエステル化ω-ヒドロキシ脂肪酸であるものは特に「アシルセラミド」と呼ばれます。結合型セラミドとして角層細胞と細胞間脂質のラメラ構造をつなぐコーニファイドリピッドエンベロープを形成する重要な役割を担うことがわかっています。アシルセラミドは脂肪酸の鎖長がとても長く、疎水性に優れています。このような働きからアシルセラミドは別名「バリアセラミド」などと呼ばれることもあります。

まとめ

いかがでしたか?セラミドの種類や「ヒト型セラミド」配合スキンケアの選び方のポイントについて解説しました。皮膚のバリア機能に必須に成分「セラミド」。ぜひ今回の記事を参考に、ご自身にぴったりなセラミド配合スキンケアを見つけて、美しいお肌を目指してくださいね。

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  • この記事を書いた人

コスメ管理人

元化粧品メーカー研究員、現役薬剤師| 日本化粧品検定特級コスメコンシェルジュ|日本コスメティック協会 コスメマイスター&スキンケアマイスター|日本フェムテック協会 認定フェムテックエクスパート |10年以上化粧品開発に携わった経験から、本当に肌に良い化粧品についてお伝えします。

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