日焼け止めに表記される「S P F」「P A」について、その意味や選ぶ時の目安についてわかりやすく解説します。
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「S P FはU V B」「P AはU V A」の防御効果の指標
日焼け止めには紫外線防御効果の指標として、「S P F」「P A」が記載されています。
それぞれどのような意味なのか端的に述べると、
SPF:UVBに対する日焼け止め効果の持続時間
PA:UVAに対する日焼け止め効果の強度
つまり、SPFは時間を表し、PAは強度を表します。
それぞれ別の物差しです。
紫外線の種類
肌に影響を与えるとされる紫外線は、波長によって
U V A:紫外線A波
U V B:紫外線B波
U V C:紫外線C波
の3種類に分けられます。このうち地上に届く紫外線はUVAとUVBです。
UVAとは
波長の長い紫外線で、肌の奥深くまで入り込み、シワやたるみなど光老化の原因になります。
主な肌への影響
・シワ
・たるみ
・シミ
窓ガラスも通過するため、室内にいてもU V A対策は必要です。
UVBとは
U V Aほど奥深くには届きませんが、エネルギーが強く、肌に赤みや炎症を起こします。
シミやそばかすの原因になります。日傘などの物理的な遮光も効果的です。
主な肌への影響
・シワ
・そばかす
S P Fは、紫外線B波(UVB)を防ぐ指標
S P FはSun Protection Factorの頭文字です。
紫外線のうち、U V Bカット効果の程度を表します。
もう少し詳しく言うと、
SPFはUVBに対する日焼け止め効果の持続時間を表す指数です。
数値は1〜50までで50を超えるものは50+と表記されます。
昔はS P Fは高ければ高いほどいいと言ってS P F100のようなものがあった時代もありましたが、現在は落ち着いています。
SPFはすべての日差しではなく、UVBに対する日焼け止め効果の持続時間のみを表します。
時間のみで防止の効果のレベルを表しているのではありませんので注意しましょう。
S P Fとは
・UVBに対する日焼け止め効果の持続時間を表す
・日焼け防止効果の強度を表しているわけではない
・UVAに対する持続時間を表しているわけではない
S P Fの測定方法
SPFは、紅斑(こうはん)またはサンバーンと呼ばれる、皮膚がヒリヒリと赤くなるような炎症を引き起こすかどうかを元に計算されます。
SPFの測定には太陽光に近い光を出すソーラーシミュレーターという機械を使います。
人の背中に日焼け止めを塗る部分(塗布部)と塗らない部分(無塗布部)を設けて、5〜6段階の強さの紫外線を照射します。
16〜24時間後にかすかに赤くなった場所のうち、もっとも少ない紫外線照射量を「最小紅斑量(MED:Minimal Erythema Dose)」とします。塗布部と無塗布部、それぞれについてMEDを算出して、以下の式に当てはめるとSPFになります。一般的に10〜20名の平均値を出します。
「SPF=塗布部のMED/無塗布部のMED」
S P Fの高さと日焼け止め効果
個人差はありますが、太陽光線を約20分間浴びると皮膚のわずかな赤みを生じると言われていますので、MEDは20分間で浴びた紫外線の量に相当します。
「SPF1=約20分のU V B防御効果」
つまりSPF10の日焼け止めは、SPF10×20分=200分(3時間20分)、UVBに対する日焼け止め効果が持続する計算です。
同様にSPF30の日焼け止めはSPF30×20分=600分(10時間)という計算になります。
SPF持続時間一覧
SPF | 日焼け止め効果の持続時間 |
SPF10 | 3時間20分 |
SPF20 | 6時間40分 |
SPF30 | 10時間 |
SPF40 | 13時間20分 |
SPF50 | 16時間40分 |
SPF50+ | 16時間40分以上 |
S P F値はあくまでも「時間」に対しての数値であって、紫外線の「強さ」に対してのものではありません。数値が高い=強い日差しでも大丈夫ということではないので注意しましょう。
日照時間以上に日焼け止めしても仕方ないので、SPFは外出時間以上に高すぎる必要はありません。
ただ、紫外線に対する反応は個人差があります。また適切な使用量が使えていないとそもそものS P F値が発揮されませんので、使い方にも気をつけましょう。
P Aは、紫外線A波(UVA)を防ぐ指標
P AはProtection grade of UVAの略語です。
紫外線のうち、U V Aカット効果の指標として日本で使われています。
もう少し詳しく言うと、
PAはUVAに対する日焼け止め効果の強度を表します。
P Aは「+」の数で表され、「+〜++++」の4段階あり、それぞれ以下のように呼びます。
+(プラス)
++(ツープラス)
+++(スリープラス)
++++(フォープラス)
2013年にPA表記に「++++」が加わり、現在の4段階になっています。
PAはすべての日差しではなく、UVAに対する日焼け止め効果の強度を表します。
P Aとは
・UVAに対する日焼け止め効果の強度を表す
・日焼け防止効果の持続時間を表しているわけではない
・UVBに対する効果を表しているわけではない
P Aの測定方法
PAは即時黒化(そくじこっか)と呼ばれる、日焼けの後に黒くなる皮膚反応を元に計算されます。
PAの測定にもソーラーシミュレーターを使います。
UVA照射光源を使って、人の背中に日焼け止めを塗る部分(塗布部)と塗らない部分(無塗布部)を設けて、5〜6段階の強さの紫外線を照射します。
UVAを浴びると皮膚の色はすぐに濃くなりますが(即時黒化)、次第に薄くなります。しかし、強いUVAを浴びた時は黒化は数時間持続します。PAの測定では即時黒化が消えるのを待って2〜4時間後まで持続した黒化を調べます。
この黒化が持続したもっとも少ないUVA量を「最小持続型即時黒化量(MPPD:Minimal Persistent Pigment darkening Dose)」とします。塗布部と無塗布部、それぞれMPPDを算出し、S P Fの時と同様に比をもとめます。この比をUVAPF(UVA protection factor of a product)と言います。
「UVAPF=塗布部のMPPD/無塗布部のMPPD」
さらにこのUVAPFを4段階にグレード化したものがPAです。
PA分類表示 | UVAPF | 意味 |
+ | 2以上4未満 | UVA防御効果がある |
++ | 4以上8未満 | UVA防御効果がかなりある |
+++ | 8以上16未満 | UVA防御効果が非常にある |
++++ | 16以上 | UVA防御効果が極めて高い |
S P F・P Aの選び方
S P F、P Aのそれぞれの表記から分かるのは
SPF:UVBに対する持続時間
PA :UVAに対する防止効果
です。
S P F値はあくまでも「時間」に対しての数値であって、紫外線の「強さ」に対してのものではありません。数値が高い=強い日差しでも大丈夫ということではないので注意しましょう。
したがって日照時間以上に日焼け止めしても仕方ないので、SPFは外出時間以上に高すぎる必要はありません。日常生活やレジャーなど、生活強度に合わせて選ぶのが良いでしょう。
PAに関しては効果の高さの指標ですので、光老化を防ぐためには高い方が良いでしょう。窓ガラスも通過するので、室内でも注意が必要です。
数値の目安は以下を参考に選ぶと良いでしょう。
日本化粧品工業連合会編「紫外線防止用化粧品と紫外線防止効果」より改変
S P F・P Aの注意点 日焼け止めの効果を発揮させるために
適切な使用量が使えていないとそもそものS P F・P A値が発揮されませんので、使い方にも気をつけましょう。
日焼け止めの効果を発揮させるためには使用量をまもることが大切です。
S P F・P Aはそれぞれ規定量として「2mg/cm2」を塗布した時の値です。
日焼け止めの使用量が少ないと期待される効果が発揮されませんので、注意しましょう。
顔に使用する場合の目安は以下のようになります。
日焼け止めに加えて、日傘や帽子、長袖など物理的な防御も取り入れるとさらに効果的ですね。
まとめ
S P FはU V B、P AはU V Aに対する指標です。外出時間や目的に合わせて適切なものを選びましょう。でも一番大切なのは、使用量をまもることです。適量を正しく使って、きちんと紫外線対策をしましょう。