日経トレンディが発表した「202年ヒット予測ベスト30」で7位にランクインした「痛いコスメ」。
ちょっぴりチクチクするユニークな使用感が特徴ともいわれますが、一体どんなものか知りたい!という方も多いでしょう。
この記事では、大注目の「痛いコスメ」の種類や配合成分、効果、おすすめの商品まで、元化粧品メーカー研究員・薬剤師の筆者が徹底解説します。
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痛いコスメとは
日経トレンディが発表した「202年ヒット予測ベスト30」で7位にランクインした「痛いコスメ」。
別名「針美容液」や「マイクロニードル」とも言われ、肌表面に微細な穴を開けることで通常のスキンケアでは届かない肌の深層部まで有効成分を届けることができるものです。
痛いコスメ=マイクロニードルのこと
マイクロニードルは、マイクロ(小さい)なニードル(針)を意味します。
実はマイクロニードルは、もともとは医療の現場で使われていたものです。
マイクロニードルは医療用に研究された「ドラッグデリバリーシステム」を応用したものです。
ドラッグデリバリーシステムとは、皮膚から効率的に有効成分を吸収させる仕組みのこと。
1980年代に注射に代わって薬品を体に入れるためのものとして開発が始まりました。
ごく細い針で肌の表面に穴を開け、その上から薬品を塗れば、注射のような痛みを感じずに薬を注入できると考えられたのがマイクロニードルなのです。
この技術を化粧品のスキンケアアイテムとして安全に使用できるレベルにまで製品化したものがマイクロニードルコスメです。
マイクロニードルは目に見えないレベルの小さな針のような形状をしており、これを肌に塗布(もしくは貼付)していくことで、肌表面に微細な穴を開けることができます。
その穴から美容成分を肌の奥深くまで流し込むことができるため、従来のスキンケアでは肌に浸透し辛かった美容成分もしっかりと肌に届けることが可能になります。
また、マイクロニードルによる肌の刺激によって、肌本来が持つ再生力が促され、肌代謝(ターンオーバー)が活性化されます。
針の種類にはいくつかあり、シートになっているものや全顔に塗れるものまで様々です。
次はマイクロニードルの針の種類を見てみましょう。
痛いコスメ(マイクロニードル)の種類と成分
化粧品領域におけるマイクロニードルには大まかに塗るタイプと貼るタイプに分かれます。
痛いコスメ(マイクロニードルコスメ)の種類
タイプ | 貼るタイプ (マイクロニードルパッチ) | 塗るタイプ (ニードルクリーム、ニードルファンデーション) |
針の主成分 | ヒアルロン酸 | 海綿(スピキュール) |
剤型 | パッチ | クリーム、美容液、 ファンデーションなど |
使用部位 | 部分用 | 全顔にも |
こんな方におすすめ | 目元、口元の乾燥感、シワ、ハリ・弾力感のなさが気になる方 |
【部分用】貼るタイプ(マイクロニードルパッチ)はヒアルロン酸
マイクロニードルパッチは、マイクロニードルのなかでもシート状で肌に張り付けて浸透させるタイプです。
マイクロニードルパッチの針の主成分はヒアルロン酸であることが多く、肌に貼ることでじんわりとニードルが溶け出し、数時間をかけてじっくりと角層へ整肌成分を届けることができます。
これが従来の肌に塗るスキンケアとは異なる浸透メソッドです。
肌表面に塗るスキンケアに比べ、角層の深いところまで確実に美容成分を届けることができます。
このヒアルロン酸の針の中に、コラーゲンやビタミン、ナイアシンアミドなどが配合されていることもあります。
これらの成分は、マイクロニードルで肌の深部に届けることで、高い効果を発揮します。
角層最深部のすみずみまで美容成分を浸透させ、ふっくらとみずみずしい肌に導きます。
マイクロニードルパッチには、この美容成分でできた針をシートに何千本と敷き詰められています。
痛いと感じる強さは人それぞれではありますが、一般的に針の数が多い、長さが長い方が痛いと言えます。
※化粧品用マイクロニードルは皮膚の最も外側にある角層に浸透させるためのものです。そのため針の長さは角層より奥に到達しないよう考慮されており、危険性や痛みの心配はありません。血液中に有効成分を注入することを目的とする医療用とは目的が異なります。
マイクロニードルパッチの使用を検討している場合、自分の肌悩みや目的に合った成分が配合されているものを選ぶようにしましょう。
【全顔に】塗るタイプはスピキュール
パッチタイプはマイクロニードルそのものが美容成分でできていますが、部分用としてしか使えません。
これに対し、全顔にも使えるマイクロニードルコスメもあります。
それが「ニードルクリーム」や「ニードルファンデーション」。
クリームやファンデーションなどにマイクロニードルが配合されています。
これらに配合される針(ニードル)の成分は、淡水に生息する海綿(スピキュール)から採取した天然針で、約60年前から医学や美容に関わる素材として使われています。
スピキュールにより肌に適度な刺激を与えることで 肌を活性化させる製品が販売されています。
また最近では、スピキュールに美容成分をコーティングすることで、スピキュール自体の針刺激と、針にコーティングされた美容成分のW効果でハリやツヤ感がアップし、キメが整い、肌本来の美しさへとアプローチする原料も開発されています。
どんな成分が入っている?
ヒアルロン酸を高分子のまま角層に届ける
浸透が困難な高分子ヒアルロン酸の浸透を可能にしたのがマイクロニードルパッチの針です。ヒアルロン酸は分子量が大きいと角層まで届きにくいデメリットがあります。ですので、通常は皮膚から吸収するのが難しい成分です。よって、塗るスキンケアでは浸透しやすい低分子ヒアルロン酸を使うのが一般的です。
一方、マイクロニードルパッチは高分子ヒアルロン酸を角層のに押し込むようにして補給。針は角層最深部まで到達し、浸透して高分子ヒアルロン酸をたっぷり届けます。高分子ヒアルロン酸は低分子より多く水分を抱え込みます。そのため、高い保湿効果とうるおいの維持が期待できます。
どんな効果があるの?
マイクロニードルそのものによる刺激
マイクロニードルそのものによる肌の刺激によって、肌のターンオーバーが促されます。
近年では、ダーマペンや美容鍼(鍼灸で行う美容針)など、あえて肌に刺激を与えることで、肌本来の持つ健康的な美しさを活性化させるという考え方が注目を集めています。
肌の奥深くには、肌の再生に関わる細胞(線維芽細胞など)が存在しており、この細胞に刺激を届けてあげることで、コラーゲンやエラスチンといった、肌のキメを整えるような成分の分泌を促すことが可能になります。
ダーマペンなどは、線維芽細胞にしっかりと刺激を与えることができる一方、肌への負担も大きいため、美容クリニックで専門的な施術を行っていく必要があります。
マイクロニードルコスメであれば、自宅で行う毎日のケアの中でも、肌に微細な刺激を与えて、肌本来の持つ美容効果を最大限に高めることが可能になります。
1日で使用する事を止めてしまうと、「効果がなし」と感じてしまうかもしれませんが、何カ月も使用すると個人差はありますが、効果を実感できると思います。
もちろん、ダーマペンにくらべるとマイクロニードルパッチの肌再生の効果は無いですが、「自宅で行うセルフケアでも安全に肌細胞を活性化させることができる」というのが、マイクロニードルコスメに期待されている効果のひとつです。
マイクロニードルが美容液を肌に届ける
マイクロニードルに期待される重要な効果が、「美容成分を肌細胞に届ける」ことです。
一般的な美容液の場合、肌の表面に美容成分を塗布したとしても、肌の奥まで美容成分を浸透させることは難しいです。
皮膚そのものがバリア機能としての役割を担っているため、たとえ美容成分であっても、肌の内部に浸透できないようにブロックされてしまいます。
特に、ヒアルロン酸やコラーゲンなどは分子量(成分のサイズ)が大きいため、十分な量を肌細胞に届けることが難しいです。
しかし、マイクロニードルの技術を用いることで、肌表面に微細な穴を開けることができるため、そこから美容成分を流し込むことができます。
マイクロニードルパッチの中には、マイクロニードルそのものがヒアルロン酸などで構成されているものもあり、ヒアルロン酸を直接肌に注入していくようなイメージで、美容成分を届けていくことが可能になります。
そのため、マイクロニードルパッチを含めたマイクロニードルコスメを使用していく際には、マイクロニードルそのものだけではなく、配合されている美容成分にも注目していく必要があります。
より効果の高いマイクロニードルコスメを選択するためには、配合されている美容成分の効果が重要になります。
シワには効果がある?
マイクロニードルパッチは、特に、シワやほうれい線などが気になっている方におすすめです。
ヒアルロン酸やエラスチンなど、しわやほうれい線などのエイジングサインに効果的な美容成分であっても、それを肌の内部にまで届けることができなければ効果は期待できません。
そのため、年齢とともに出現する深いシワやほうれい線などは、一般的な美容液では対策が難しいです。
そんな時に活用できるのがマイクロニードルの技術です。
マイクロニードルパッチであれば、ほうれい線や目尻のしわなど、深くなってしまったシワにもピンポイントに美容成分を届けていくことが可能になります。
また、マイクロニードルによる刺激によって、肌細胞が活性化されやすくなるため、肌の新陳代謝を促すことができます。
年齢を重ねることで肌の新陳代謝のスピードが遅くなってしまうため、くすみや色素沈着、シミなどが出現しやすくなります。
毎日のケアの中でマイクロニードルを活用することで、肌本来が持つ代謝力を高め、内側から若々しい肌に生まれ変わらせる効果が期待できます。
ニキビ跡には効果がある?
マイクロニードルパッチがニキビ跡に効果があると言われることがあります。
ただ、重度のニキビ跡には効果がないかもしれません。
そのメカニズムとしては、マイクロニードルが肌を刺激することで、肌の奥にある線維芽細胞が活性化されやすくなり、コラーゲンの生成が促されて、結果的にニキビ跡に対する効果を発現するといったものです。
また、マイクロニードルコスメに配合されている美容成分の効果によって、ニキビ跡による色素沈着などを改善しやすくなると考えられます。
とはいえ、マイクロニードルが線維芽細胞を刺激するのには限界があるため、クレーターなどのしつこいニキビ跡への効果は限定的になります。
ニキビ跡の程度にもよりますが、本格的なケアを行うためには、マイクロニードルだけではなく、ダーマペンなどの美容施術を組み合わせていく必要があります。
マイクロニードルよりも、より強力に線維芽細胞を活性化することができるのがダーマペンです。
ダーマペンでしつこい肌のお悩みにアプローチしながら、毎日のケアとしてマイクロニードルコスメを取り入れていくというのがおすすめです。
選び方のポイントは?
マイクロニードルパッチを選ぶ場合は、目的にあった成分・形状目的に合わせて成分を選ぶことがポイントです。
目的にあった成分を選ぶ
マイクロニードルパッチは、主成分がヒアルロン酸であることが多く、それ以外の成分で目的にあった成分を選ぶことがポイントです。
ハリ
コラーゲン・ナイアシンアミド・レチノール
くすみ
ビタミンC
乾燥
コラーゲン・セラミド
ニキビ
マデカッソシド
目的にあった形状を選ぶ
マイクロニードルパッチには、円形や楕円形のものなど形やサイズが異なります。
ニキビやシミには、円形。目元、口元、おでこなどのケアにはより広範囲がカバーできる楕円形を選ぶことがおすすめです。
マイクロニードルパッチはスペシャルケアに
塗るだけではなかなか届きづらい部分にダイレクトに成分を届けることができるマイクロニードル。
気になる目元や口元などのスペシャルケアを自宅で手軽に取り入れることができます。
イクロニードルパッチを選ぶ際の注意点として、製品に配合されている美容成分を必ず確認するようにしましょう。
様々な製品が販売されており、それぞれによって配合されている美容成分は異なります。
効果を最大限に発揮するためには、「どのような美容成分が配合されているか」ということが非常に重要になります。
マイクロニードルパッチやマイクロニードルコスメを選ぶ際には、価格や貼りやすさ(シールの形状)だけではなく、製品に配合されている美容成分も必ずチェックするようにしましょう。
中には、一般的な美容液以上に美容成分がリッチに含有されているものがあります。
そのようなタイプの製品を使用することで、マイクロニードルのメリットを最大限に発揮することができ、美容成分を肌細胞に届けていくことが可能になります。
肌に使っても大丈夫なの?
「マイクロニードルパッチは針状に成形した美容成分を肌に刺す化粧品」と聞くと、安全性が気になるもの。
危険性や痛みが心配な方も多いのではないでしょうか。マイクロニードルパッチと針を使った美容医療との違いや、痛みの程度についてお伝えします。
針を使った美容医療の施術との違い
美容医療の業界では、ダーマローラー、ダーマペンといった施術が行われています。ダーマローラーやダーマペンは極細の針がついたローラーを肌の上で転がして使用します。多少の痛みを伴うため、美容クリニックでは施術時に麻酔クリームなどを使うのが一般的です。また使用にあたって消毒や衛生管理を徹底しないと、思わぬ肌トラブルを招く恐れがあります。そのため全く危険ではないと言るのは難しいでしょう。
一方マイクロニードルパッチは1回使いきりなので、衛生面の心配がありません。誰でも自宅で手軽に使用できる化粧品であることがマイクロニードルパッチのメリットです。シートを目尻や目の下、口元といった気になる部分に貼て寝るだけで集中ケアがでます。時間がない方や面倒くさいお手入れが苦手な方にもぴったりです。
痛みや危険性が気になる方でも化粧品なのでトライしやすいアイテムです。
マイクロニードルパッチで出血の危険性は?
ヒアルロン酸注射やローラータイプのマイクロニードルは内出血が起きる事があるようです。
これらの口コミを化粧品のマイクロニードルパッチと誤認されることがあります。
マイクロニードルパッチは危険だと間違ったうわさが広まることも。
マイクロニードルパッチの針の長さは角層を突き破って真皮層に侵入しないよう設計されています。
ですので、血管に到達する恐れはなく、出血の危険性はありません。
少なくとも日本製のマイクロニードルパッチであれば心配はしなくてよいでしょう。その理由は日本の化粧品レギュレーションでは角層までにしか作用が認められていないためです。
マイクロニードルパッチで肌荒れやかゆみが起こる危険性は?
どんな化粧品でも肌との相性はあります。
絶対に「大丈夫」または「危険」という事は断言できません。
肌質に合わなければ肌荒れの危険性はあるでしょう。
すなわち、マイクロニードルパッチだから肌荒れが起こるこいう事実はありません。
マイクロニードルパッチの針は痛い?
「肌に針を刺すのは痛そう」と思う方もいるかもしれません。
しかし、ニードル(針)は非常に小さく細いため、痛みを感じるような強い刺激はありません。感じ方には個人差がありますが、問題なく使える方がほとんどでしょう。
一般的なマイクロニードルパッチでは、貼ってしばらくの間チクチクとしたわずかな刺激があります。
弱い刺激ですので痛みとして感じる方は多くはないでしょう。
この弱いチクチクとした刺激は針が角層に入っている証拠。
時間の経過とともに針が溶けて気にならなくなります。
マイクロニードルパッチはメーカーによって形状に違いがあります。心配な方は痛みが少なくなるよう工夫された商品を選ぶと良いでしょう。
まとめ
痛いコスメは、マイクロニードルで肌を刺激することで、美容成分の浸透を高めたり、肌を活性化させてくれます。
普通の美容液を塗るよりも高い効果が期待できるので、シワやシミ、ニキビ跡などが気になる方はぜひ一度試してみてくださいね。