デリケートゾーンの黒ずみや色素沈着をハイドロキノンでケアしたいと思っている方へ、ハイドロキノンの種類や効果、おすすめ、使い方のポイントなどを元化粧品メーカー研究員・日本フェムテック協会 認定フェムテックエクスパート認定・薬剤師の筆者が徹底解説します。
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デリケートゾーンの黒ずみ(色素沈着)の対処法
デリケートゾーンの黒ずみ。
脱毛や除毛後にせっかくきれいになったと思ったのに、黒ずみが見えてしまうと台無しですよね。
デリケートゾーンの黒ずみは色素沈着です。
色素沈着とは、しみの元となるメラニンが過剰に作られてお肌にたまってしまっている状態。
メラニンは黒〜茶色なので、大量に存在すると黒ずんで見えてしまうのです。
ではどのような対策をすればいいのでしょうか。
それは、色素沈着の原因であるメラニンの生成を抑えること。
市販の美白有効成分配合の美白美容液や美白クリームもよいのですが、デリケートゾーンのような長年蓄積したようなひどい黒ずみには効果を感じにくい場合も。
これまで美白クリームを使って効果を感じられなかった方には、レーザーなど美容皮膚科的な治療を考えるのも良いでしょう。
デリケートゾーンのひどい黒ずみの美容皮膚科的治療法
- レーザー
- ピーリング
- ハイドロキノン(+トレチノインの場合も)
などがあります。
レーザーやピーリングはクリニックでの施術が必要になります。
一方で、ハイドロキノンはクリニックで処方薬として出してもらえることもあれば、市販の化粧品としても購入することができます。
ただし、ハイドロキノンは効果が高い反面、セルフでの使用には注意も必要です。
デリケートゾーンのひどい黒ずみにハイドロキノンを使うためのポイントを学んでいきましょう。
デリケートゾーンの黒ずみの原因について詳しくはこちら↓で解説しています。
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デリケートゾーンの黒ずみは色素沈着!なぜ起こる?セルフケアの方法
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デリケートゾーンの黒ずみに使われるハイドロキノンとは
ハイドロキノン(Hydroquinone;HQ)はシミ治療に使われる美白成分です。
自然界ではコケモモ、イチゴ、ブルーベリー、コーヒーなどに含まれています。
写真の現像など古くから工業的にも使用されています。
アメリカではFDAによる規制があり2 %でOTC薬、4 %で処方箋薬として使用されていますが、EU諸国では人体への使用は禁止されています。
日本では2001年から化粧品への配合が許可されました。
美容治療領域では、肝斑、日光黒子(老人性色素斑:シミ)、雀卵斑(そばかす)の治療やレーザー治療後の炎症後色素沈着の予防などに使われています。
ハイドロキノンについて詳しくはこちら↓で解説しています。
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ハイドロキノンとは?ハイドロキノンクリームの効果や使い方を解説
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ハイドロキノンの作用機序:美白有効成分との違い
シミのもとであるメラニン色素は表皮のメラノサイトという細胞が産生します。
メラノサイトでは、チロシンを出発物質としてチロシナーゼという酵素のはたらきを経てメラニンが産生されます。
ハイドロキノンはメラニン合成酵素であるこのチロシナーゼのはたらきを阻害してメラニン合成を抑制します。
またメラノサイトのDNA、RNA合成阻害作用などもあり、強力な美白効果を示します。
ハイドロキノンの作用機序
- チロシナーゼの活性抑制
- メラノサイトの破壊(DNA、RNA合成抑制)
- メラノソームの分解
チロシナーゼ阻害作用でいうと、ハイドロキノンの美白効果は美白有効成分として使われるビタミンCやコウジ酸、アルブチンと比較すると10倍~100倍と言われています。
市販のハイドロキノンと処方薬の違い
最近は市販品でもハイドロキノン配合の化粧品を見かけるようになりました。
市販のハイドロキノンと、クリニックで処方されるハイドロキノンの違いは次の2つです。
- 配合濃度
- 原料の種類
配合濃度
ハイドロキノンは美白効果が高い反面、皮膚刺激も高い成分です。
化粧品に配合できるとは言っても、安全面の管理上、市販品の配合濃度はクリニック処方と比べると低くなります。
クリニックでは医師の管理下のもと使用するため、効果感を最も感じられる濃度に設定されることが多いです。
原料の種類:純ハイドロキノンと安定型ハイドロキノン
これは前述の配合濃度とも関連しますが、ハイドロキノンには2種類あります。
それが、
- 純ハイドロキノン
- 安定型ハイドロキノン
ハイドロキノンは光や熱、水分、空気によって劣化しやすい、安定性が悪い成分です。
そして酸化によってできる「ベンゾキノン」という成分は皮膚刺激性が強いことが知られています。
最近ではハイドロキノンそのもの(純ハイドロキノン)に対し、安定性や皮膚刺激性を低減した「安定型ハイドロキノン」を配合した製品も増えています。
クリニックでは純ハイドロキノンを配合した院内製剤のクリームが処方されます。
院内製剤のハイドロキノンクリームは安定性の懸念から、冷蔵保管をします。
院内製剤以外に、先生が選んだ市販品を勧められる場合もあります。
市販品といっても、クリニック限定化粧品であることがほとんどで、医師の管理下のもと使用します。
クリニック限定化粧品のハイドロキノンも純ハイドロキノンが多いです。
このようなハイドロキノン配合商品では製剤的な工夫がされ、常温での保管が可能になっています。
安定型ハイドロキノンとは?
安定型ハイドロキノン(安定型徐放性ハイドロキノンSHQ-1®)はハイドロキノンとセタルコニウムクロリドなどの界面活性剤との結晶性分子錯体です。
純ハイドロキノンと比較して安定性がよいことが最大の特長です。
ただし注意すべきはその濃度です。
ハイドロキノンを安定化させる成分も一緒になった状態で安定型ハイドロキノンと呼ぶため、例えば「安定型ハイドロキノン10%配合」と書いてあった場合、ハイドロキノンはおよそ3%程度しか入っていませんので、間違えないようにしましょう。
純ハイドロキノンの安定化技術
安定型ハイドロキノンとは異なり、効果の高い純ハイドロキノンを安定的に配合するためには製剤的工夫が必要です。
基本的には以下のようなことがおこなわれていますが、そのほかにメーカー独自の技術もあります。
・製剤中の水の配合量を減らす
・抗酸化成分(ビタミンCやビタミンEなど)配合
・遮光の容器
発がん性があるって本当?
ハイドロキノンには発がん性はあるのかといったことに対して、世界保健機構(WHO)外部機関の国際がん研究機構(IARC)から発表されている発がん性リスク分類では、ハイドロキノンはグループ3「人に対する発がん性が分類できない」に分類されています。
デリケートゾーンに使う時の注意点
ハイドロキノンは美白効果の高い成分ですが、酸化されやすく安定性が悪い成分です。
そして酸化によってできる「ベンゾキノン」という成分は皮膚刺激性が強いことが知られています。
ハイドロキノン使用時のかぶれなどはこのベンゾキノンが原因のことも多くあるようです。
・遮光を徹底
ハイドロキノン使用中に強い紫外線を浴びると、シミが薄くなるどころか、逆に色素沈着を生じてしまうこともあります。夏場など、水着を着るような時は塗らないようにしましょう。
・冷暗所に保管
ハイドロキノンは酸化されると黄~茶色に変色します。変色したものを使用しないようにしましょう。光を避け、冷蔵保管します。
・漫然使用を避ける
一般的にはハイドロキノンクリーム使用開始から3ヵ月を目安に、症状の改善有無および皮膚の状態を確認します。継続治療をするか、ビタミンC誘導体などの他の美白成分に変更してみることも検討しましょう。
特にデリケートゾーンは角層が薄く、体の他の部位に比べて吸収性が高いと言われています。
漫然と使用することは避けましょう。
・その他
染毛剤の成分である「p-フェニレンジアミン」との交叉感作性が報告されています。染毛剤によるかぶれの経験がある場合は注意しましょう。
ハイドロキノン使用時のスキンケアのポイント
デリケートゾーンの黒ずみ(色素沈着)対策には、ハイドロキノンでメラニンの生成を抑えるのはもちろんですが、次のポイントにも気を付けましょう。
スキンケアのポイント
・刺激の原因を取り除く
・抗炎症成分で炎症を抑える
ポイント① 刺激の原因を取り除く
デリケートゾーンの黒ずみ(色素沈着)の原因は主に「摩擦」です。
下着やナプキンなど、毎日繰り返し擦れてきたことが主な原因です。
まずは原因そのものである摩擦をできるだけ取り除きましょう。
・肌あたりの優しい下着やナプキンをつける
・できるだけ擦らない
などを心がけましょう。
擦らないためには石鹸は泡タイプがおすすめです。
ナイロンタオルなどは使わずに手で優しく洗いましょう。
デリケートゾーンにおすすめの泡石鹸について詳しくはこちら↓で解説しています。
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敏感肌でもデリケートゾーン石鹸は使ってよいの?正しい選び方とは
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ポイント② 抗炎症成分で炎症を抑える
デリケートゾーンは下着や衣類、ストッキング、ナプキンなどとこすれて摩擦を受けやすい部位です。
痛みを感じないくらいの摩擦でも刺激は刺激。毎日の蓄積で慢性的な炎症となって、頑固な黒ずみに繋がってしまいます。
抗炎症作用のある肌荒れ防止成分が有効成分として配合されている医薬部外品のスキンケアを選びましょう。
セルフケアのための市販のスキンケアでは次の肌荒れ防止成分がおすすめです。
肌荒れ防止成分
効果:炎症を抑える
代表成分:グリチルリチン酸2K、グリチルレチン酸ステアリル、トラネキサム酸、ナイアシンアミド
トラネキサム酸やナイアシンアミドは、美白効果だけでなく肌荒れ防止効果もあるお得な成分です。
まとめ
デリケートゾーンのひどい黒ずみには、ハイドロキノンを使うのも選択肢の一つ。
ただしデリケートな部分に使うものなので、気を付けるポイントをきちんと守ることが大切です。
正しくハイドロキノンを使って透明感のあるお肌を取り戻しましょう。