美白成分として最も効果が高いハイドロキノン。
実は市場には純ハイドロキノンと安定型ハイドロキノンの2種類があります。
それぞれの違いを理解することで、肌に最適な成分を選ぶ際の参考になります。
この記事では、純ハイドロキノンと安定型ハイドロキノンの特徴や効果の違い、おすすめの商品まで、元化粧品メーカー研究員・薬剤師の筆者が徹底解説します。
純ハイドロキノンと安定型ハイドロキノンの違い
ハイドロキノンといえば、最強の美白剤として知られる成分です。
気になるシミに使ってみたい!と思っている方も多いことでしょう。
いざ商品を購入しようと思うと「ハイドロキノン」「純ハイドロキノン」「安定型ハイドロキノン」と色々種類が出てきて違いがわかりにくいと思われた方もいらっしゃると思います。
まず、ハイドロキノンと純ハイドロキノンは同じものを指します。
ハイドロキノン=純ハイドロキノン
「純ハイドロキノン」という言葉は「安定型ハイドロキノン」との対比のために使われるようになった言葉です。
純ハイドロキノンと安定型ハイドロキノンの違いは、ずばり「ハイドロキノンの濃度の差」です。
【純ハイドロキノン】
純度100%のハイドロキノンのこと
安定性が悪いので、品質を担保するのに高い製剤技術が必要
【安定型ハイドロキノン】
安定性を高めるためにハイドロキノンと他の成分を混ぜたもの
純ハイドロキノンと比較すると安定性がよく、化粧品に配合しやすい
ハイドロキノン(純ハイドロキノン)は光や熱、水分、空気によって劣化しやすい、安定性が非常に悪い成分です。
そして酸化によってできる「ベンゾキノン」という成分は皮膚刺激性が強いことが知られています。
このためハイドロキノン(純ハイドロキノン)配合商品では美白効果が高い反面、安定性を保つための製剤的な工夫が必要です。
これに対し、「安定型ハイドロキノン」は純ハイドロキノンの安定性が高められ、皮膚刺激性を低減できるため、これを配合した製品も増えています。
種類 | 成分の内訳 | 美白効果 | 皮膚刺激性 | その他 |
純ハイドロキノン (ハイドロキノン) | ハイドロキノンそのもの | 高い | 起こる可能性がある | |
安定型ハイドロキノン | ハイドロキノン +その他の成分 | マイルド | 刺激が少ない | 皮膚への浸透性向上 |
安定型ハイドロキノンの方が良さそうに思いますが、落とし穴はハイドロキノンの濃度。
同じ5%だとしても安定型ハイドロキノンの場合は原料中のハイドロキノンの濃度は5%の半分以下になっています。
これについては次に説明していきます。
純ハイドロキノンと安定型ハイドロキノンはどちらがいいの?
純ハイドロキノン、安定型ハイドロキノンはどちらもハイドロキノンが入っています。
しかし、注意すべきはその中のハイドロキノンそのものの濃度です。
安定型ハイドロキノンは、ハイドロキノンを安定化させる成分も一緒になった状態で安定型ハイドロキノンと呼びます。
このため、例えば「安定型ハイドロキノン10%配合」と書いてあった場合、ハイドロキノンはおよそ3%程度しか入っていません。
このようにハイドロキノン濃度が同じ表記でも、実際はぜんぜん違う濃度ということが起こります。
商品購入前にきちんとどちらのハイドロキノンが使われているか確認しましょう。
濃度だけを聞くと純ハイドロキノンの方がよいように思えますが、安定型ハイドロキノンにもよい点があります。
初めてハイドロキノンを使う方や化粧水のように水分の多いアイテムには安定型ハイドロキノンの方が向いている場合もあります。
ハイドロキノン配合商品の選ぶ時の注意点
純ハイドロキノン、安定型ハイドロキノン、どちらのハイドロキノンでも選ぶ時には注意点があります。
きちんと効果を得るためにも、次の注意点を確認しましょう。
信頼できるメーカーを選ぼう
ハイドロキノンは一度酸化してしまうとベンゾキノンという皮膚刺激性の高い成分に変化してしまいます。
安定型ハイドロキノンとは異なり、効果の高い純ハイドロキノンを安定的に配合するためには製剤的工夫が必要です。
基本的には以下のようなことがおこなわれていますが、そのほかにメーカー独自の技術もあります。
- 製剤中の水の配合量を減らす
- 抗酸化成分(ビタミンCやビタミンEなど)配合
- 遮光の容器
このため、信頼できるメーカーのものを選ぶのが近道です。
また美容皮膚科で開発された商品などもおすすめです。
安定型ハイドロキノン配合日本国内正規流通品:KISO、AMPLEUR、ビーグレン、エピステームなど
肌に合った濃度を選ぼう
ハイドロキノンの濃度が高い方が美白効果は高くなります。
一方で、皮膚刺激のリスクも高くなるデメリットも。
セルフケアで使うなら純ハイドロキノンの濃度は4%までにしておくとよいでしょう。
それ以上は美容クリニックなどで皮膚科専門医の管理下で使用するのがおすすめです。
安定型ハイドロキノンの場合は5%〜8%程度まではセルフケアで使用できます。
次の表を参考に肌に合わせて選びましょう。
濃度 (純ハイドロキノン換算) | 使用部位 | 美白効果 | 肌トラブルのリスク |
〜2% | 顔全体のトーンアップ | △ | ややある |
2〜4% | シミに部分使い | ○ | ある |
4%以上 | シミに部分使い | ◎ | かなりある ※皮膚科専門医の管理下で 使用するのがおすすめ |
純ハイドロキノンのおすすめアイテム
純ハイドロキノン5%配合 ランテルノ ホワイトHQクリーム
美容クリニックレベルの濃度で純ハイドロキノンを配合しているのがランテルノホワイトHQクリーム
水分量が多いと酸化が早まってしまうハイドロキノンの弱点を独自のベースで克服。
グリセリンをベースにすることで安定性を極限まで保つことに成功しました。
嬉しいのがグリセリンは最強の保湿剤とも言われる保湿効果の高い成分。
ベースが高保湿の成分なんてとても魅力的ですよね。
さらに12種のサポート成分を配合。
浸透性の高いビタミンC誘導体であるAPPSやターンオーバーを促進してメラニンを排出するビタミンA誘導体、肌のバリア機能をサポートする4種のヒト型セラミドなど美白だけでなく肌全体を整えてくれる成分が贅沢に配合されています。
楽天ベストコスメ2021を受賞するなど人気が高いのも納得。
使用部位にもよりますが、夜のみ1日1回の使用で1〜1.5ヶ月分です。
続けて使ってコンシーラーいらずの肌を目指せる逸品です。
注目のハイドロキノンクリーム 純ハイドロキノン5%配合 LANTELNO(ランテルノ) ホワイトHQクリーム 新規商品購入
純ハイドロキノン3%配合 YOUUPハイドロキノン集中美白クリーム
世界保健機関(WHO)などの国際機関が本部を置くスイス。そんな美容コスメの先進国スイスで生まれた【ハイドロキノン集中ケアクリーム】
抜群の明るい肌へと導く「純ハイドロキノン」を3%配合した、集中クリームです。
ハイドロキノンは、メラニンを生成する酵素“チロシナーゼ”を防ぐ働きが期待でき、シミの予防×ケアを同時に実現。
今あるシミケアはもちろん、紫外線によるシミの増加が気になる時期に特におすすめの逸品です。
ハイドロキノンの他に、今注目の整肌成分 パンテノールやツボクサエキス、抗酸化成分 トコフェロール、肌荒れ防止成分 グリチルリチン酸2K、ローズマリー葉エキス、カンゾウ根エキスなどを配合。
たっぷり30gで伸びの良いクリームなので顔全体のくすみケアにおすすめです。
初回は999円でお試しできるのは今だけ限定です。
今なら初回999円で始められます【ハイドロキノン集中ケアクリーム】
純ハイドロキノン4%配合 ジェイメック プラスリストア ナノHQクリームEX
濃度非開示でも効果はお墨付き ロート製薬 DRX HQブライトニング
クリニック専売化粧品 DRX
多価アルコールを独自の配合率で基剤に配合することでハイドロキノンを安定化
純ハイドロキノン8%配合 KISO
安定型ハイドロキノンのおすすめアイテム
アンプルール クリアコンセントレート HQショット
アンプルール クリアコンセントレート HQショット
アンプルールは、美容皮膚科医 高瀬聡子先生が開発した化粧品ブランド。
クリニックでのみ処方が許されていたハイドロキノンにいち早く着目。
新安定型ハイドロキノンとして「高浸透ホワイトハイドロキノン」を世界で初めて化粧品に採用したブランドとして2003年に誕生しました。
ブランド誕生のきっかけは、高瀬先生が一般的な美白成分と比べてメラニン抑制力が約100倍の「ハイドロキノン」に注目したことから。
そして東京工業大学、新潟薬科大学との共同研究で安定化物質BCDAC(Benzylcetyldimethylammonium chloride, セタルコニウムクロリド)とドッキングしたハイドロキノンの結晶性分子錯体を開発。
安全性を高めた高浸透ホワイトハイドロキノンを化粧品に配合することに成功したのです。
新安定型ハイドロキノンのメリットとは?
- 皮膚への浸透性と安定性が向上
- 角質層でハイドロキノンが徐々に放出され持続する
- 酸化・変質しにくい
- 肌負担を軽減
「ルミナスHQブースター」「クリアコンセントレート HQショット」は初回限定アンプルール トライアルキットでお試しできます。
シミ・くすみに!本格美白ケアがお得に体験できる【アンプルール トライアルキット】はこちらキソ ハイドロクリーム SHQ-10
安定型ハイドロキノンを10%配合
安定型徐放性ハイドロキノン 医療・化粧品向け美白原料「SHQ-1®」
安定型徐放性ハイドロキノンSHQ-1シードクリーム
For professionals - social responsibility
※医療機関推奨基準配合SHQ-1認証
ビーグレン QuSomeホワイト2.0
薬学博士が開発したサイエンスコスメ「b.glen(ビーグレン)」
科学的エビデンスのある美容成分とドラッグデリバリーシステムによって「深刻な肌悩み」を解決する、 アグレッシブなスキンケア製品を自社開発しています。
ビーグレンの安定型ハイドロキノンの特徴
狙ったところに薬を届けるドラッグデリバリーシステムを応用し、ハイドロキノンを安定した状態で、確実に成分を届ける工夫をしています。
これにより、肌負担も軽減されます。
QuSome
またビーグレンでは、専門知識を持つスキンケアコンサルタントによる無料肌相談も受け付けています。
深夜・早朝も対応してくれるというから、使用する際にわからないことがあったら気軽に聞けるのも魅力です。
ハイドロキノンのシミへの効果
シミは紫外線や炎症などの刺激により、表皮角化細胞(ケラチノサイト)からプラスミンやエンドセリンなどのメラニン生成の指令が放出されることから始まります。
メラニン生成指令を受け取ったメラノサイトでは、メラニンを作る酵素であるチロシナーゼが活性化し、メラニンを作る反応が進み、メラニンが作られます。
メラノサイトで作られたメラニンは周囲のケラチノサイトに受け渡され、通常はターンオーバーによって排出されます。
しかし、メラニンが過剰に作られたり、ターンオーバーが遅くなるとメラニンが溜まってシミになってしまうのです。
美白有効成分はメラニン生成・排出の過程にアプローチして、メラニンの生成を抑えたり、メラニンの蓄積を抑えることでシミに効果を発揮します。
主な美白成分とそのアプローチをまとめます。
美白のアプローチ | 成分名 |
メラニンの生成指令を抑える | カモミラET トラネキサム酸(t-AMCHA、m-トラネキサム酸) トラネキサム酸セチル塩酸塩(TXC) |
チロシナーゼ活性を抑える | ビタミンC誘導体 アルブチン エラグ酸 4-メトキシサリチル酸カリウム塩(4MSK) 4-n-ブチルレゾルシノール(ルシノール) |
チロシナーゼ成熟阻害 | マグノリグナン |
チロシナーゼ分解促進 | リノール酸S(リノレックS) |
できてしまったメラニンを還元する | ビタミンC誘導体 |
メラノサイトからケラチノサイトへのメラニンの受け渡しをブロックする | ニコチン酸アミド(D-メラノ) |
メラニンの排出を促す | デクスパンテノールW(PCE-DP) アデノシン一リン酸二ナトリウム(エナジーシグナルAMP) |
ハイドロキノンをやめるとシミは戻る?
ハイドロキノンは長期間使っても大丈夫?耐性はできる?
高濃度(6-8%)で比較的長期間大量に用い,無防備な日光曝露歴を有し,レゾルシノールやフェノール等と併用した場合,丘疹状や斑状の色素沈着(ochronosis:組織褐変症)および爪甲色素沈着の報告等があります。
ただ日本ではこのような報告は今のところはなく,黒人においての報告が多く見られることから,日本人のスキンタイプでは起こりにくいと考えられています(文献①)。
日本人ではハイドロキノンの長期使用による組織褐変症等は起こりにくいものの,一般的にリスクファクターと考えられているもの(高濃度での使用,日光曝露,フェノールとの併用など)にはご注意いただければと思います。
ゼオスキンのプログラムでは「長期的なハイドロキノンの使用によって、重度のリバウンド性の色素沈着を起こす。また肌の耐性についても、4%濃度のハイドロキノンを使用して4~5ヵ月後には肌の色の改善が止まることがあり、特にメラニンが過剰な部位のメラニン細胞がハイドロキノンへの耐性を持つため、正常な部位の改善が続くことで、色素沈着の状況が悪化する。このため、4〜5ヵ月の使用後には2〜3ヵ月の休止期間を推奨する。」と紹介されています。
これはゼイン・オバジの見解であり、ハイドロキノンの長期使用により耐性ができるメカニズムの報告や具体的な症例は現状見受けられません。
ハイドロキノンの長期使用により耐性ができるメカニズムの報告や具体的な症例は現状見受けられません。
・高濃度使用(5%以上)
・長期使用(3年以上)
・他の薬剤の併用
・遮光の徹底がされていない
の場合に、主に黒色人種でオクロノーシス(組織褐変症)が報告されていますが、適性にハイドロキノンを使用することにより発症頻度は著しく低下します。また継続使用により色素沈着部が健常部と同等の皮膚色へ近づくと、美白の効果が判断しにくくなることもありますがハイドロキノンに対する耐性ができたということではないと考えられます。
ハイドロキノンと発がん性
現時点でハイドロキノンの外用によるヒトへの発がん性は認められていません。
<ハイドロキノン長期使用報告例>
5%程度のハイドロキノン長期使用例については過去の質問箱にも記載があります。
下記に一覧でまとめます。
国内では6ヵ月~1年半の使用において重篤な副作用例は報告されておらず、主に紅斑、落屑、掻痒感、刺激感などが副作用として知られています。
長期使用の際に限らず、ハイドロキノンをご使用の場合には一般的なリスクファクターである「高濃度長期間」「日光暴露」「フェノールなど高い還元作用を持つ成分との併用」を避けていただくことをご案内ください。
世界保健機構(WHO)外部機関の国際がん研究機構(IARC)から発表されている発がん性リスク分類でもハイドロキノンはグループ3に分類
グループ3:「人に対する発がん性が分類できない」
ハイドロキノンを使う時の注意点
紫外線対策は必須
保管方法にも注意
色が変わったら使わない
ハイドロキノン配合のスキンケア製品が黄色く色が変わっていたら、ハイドロキノンが酸化してベンゾキノンになっている可能性が高いです。
ベンゾキノンは美白効果がないだけでなく、皮膚刺激性も高い成分なので、肌トラブルになる恐れも。
色が変わった製品は使わないようにしましょう。
染毛剤での皮膚トラブルに注意
ハイドロキノンと類似の構造をもつ染毛剤の成分「p-フェニレンジアミン」は,一般人の0.1~1.0%に感作されているとの報告があります。
発生率の報告には数値のバラつきがある旨,また染毛剤でのかぶれの経験がある方などご不安がある場合には使用を避けるか,使用前に二の腕などで一度試していただきかぶれが起きないかをご確認のうえお使いいただくようお伝えください。